(c) 松井優征 2013, 2014 『Assassination Classroom, Vol. 11』より
I continued to watch the karate master who had defeated me… while my body burned with rage and humiliation…
If I lose again… I’ll fall apart. I’ll go crazy.
The anger and fear… helped me to concentrate like never before. I stole the karate master’s moves.
And I devised a strategy to defeat him.
私は…… 私を打ち負かした空手の師範を見続けた── 肉体が怒りと屈辱で燃え上がる中で。
もし再び負けたら、私は壊れてしまう。 私は狂ってしまう。
その怒りと恐怖が── 私にかつてない集中力をもたらし、師範の技を盗んだ。
そして、彼を倒すための戦略を編み出した。
これはなかなか難しい英文である。 普通に単語のレベルも高い。が、暗殺教室の中でも特に好きなセリフの一つでもある。
浅野理事長は、自分を打ち負かした空手の師範の動きを、ただ見ていたのだという。
I continued to watch the karate master who had defeated me のように、時制に注意が払われている。 理事長が師範をずっと見ていたのは、師範に負けた後なので、前者は過去形、後者は過去完了(大過去)というように時制が区別されている。
while〜 は、「〜している間に」を意味する従属接続詞。 ここは分詞構文じゃないんだなぁと感心した。
バックストリートボーイズの超名曲“I want it that way”には、“But we are two worlds apart (でも僕たちはバラバラな世界にいる)”みたいな歌詞が出てくるのだけど、浅野理事長の“I’ll fall apart.”というせりふも、「私はバラバラに壊れるだろう」という意味。
like never before は、「かつてないほど」という意味の慣用表現。
これも、現在完了の否定じゃないんだなぁと感心。
devise は、come up with とかなり近い意味を持つ。 ニュアンスの違いとしては、devise は綿密な戦略を考えつくこと。 come up with は、アイディアなどを思いつくこと。
浅野氏は、負けたことが相当悔しかったのか、闇雲にぶつかるのではなく、相手の動きを徹底的に学習し、弱点を見抜き、絶対に負けないための戦略を編み出した。
なぜなら、もし次に敗北を喫したら、その現実を受け入れられずに壊れてしまうからである。「もし次に師範を倒せなければ死ぬしかない」という極限のプレッシャーを自分自身に与え、超人的な集中力をもって師範の僅かな隙を探したのだろう。
ちなみに、そんな簡単に弱点を攻められるなら、黒帯なんて誰しもが持ってるわ。 とツッコミたくなるのだが、そこはマンガなので仕方ない。