2018年 買ってよかった本10選

お久しぶりです。 たーせるです。

今年はほとんどブログ投稿をしないまま1年が終わってしまいそうだということに気付きました。

まぁ全く何もなかったかというとそういうわけでもなく、昇進したり、異動したり、僕を採用した担当者が次々と辞めたりとさまざまな出来事がありました。

閑話休題。 今年も「買ってよかった本10選」のコーナーを開催します。 ノミネートの基準は独断と偏見で、紹介順も適当です。

これまではC#案件が多かったのですが、今年は心機一転、スキルセットをフルチェンジしてWeb系に大きく舵を切っています。

それではいってみましょう。


Angularアプリケーションプログラミング

Angularアプリケーションプログラミング

Angularアプリケーションプログラミング

買ったのは2017年だが、まじめに読み込んだのは今年に入ってからである。 ちょっとつんどく化してしまった結果、良さに気付くのが遅れてしまったかわいそうな本である。

現在はAngularのバージョンも7系になり(本書の対象バージョンは4)、環境やAPIまわりの解説にやや陳腐化が見られるものの*1、情報の充実度としては日本語で書かれたAngular本の中で今なお最高峰を誇っていると言っても過言ではない。 実は類書を何冊か買い集めたが、結局この一冊だけで十分だった。

ただし、本書が説明するのは、飽くまでAngularというフレームワークの基本的な使い方だけである。 実際にアプリケーションを開発する際にハマりがちなポイントや、実装のベストプラクティスに関する言及はほとんど無いので、中級者以上の方は注意。

「Auth0」で作る! 認証付きシングルページアプリケーション

「Auth0」で作る! 認証付きシングルページアプリケーション (技術書典シリーズ(NextPublishing))

「Auth0」で作る! 認証付きシングルページアプリケーション (技術書典シリーズ(NextPublishing))

なるほど! OpenID Connect (OIDC) とはこういうものだったのか!

サーバレス・シングルページアプリケーション時代の新しい認証・認可の仕組みを利用するための解説書。

全体の構成、説明の順序、図版どれもが秀逸で、ちょうど読者が知りたいと思ったタイミングでその説明が始まる。

まるで、詳しい人がつきっきりで教えてくれているような感覚で読み進めることができる。 たとえCognitoなどの代替サービスを利用するにしても、前半部分は十分に有用だと思う。

後半はNuxtナクスト + Vueビュー + Authオース0ゼロを利用して、認証つきSPAを作る実践チュートリアル

欲を言うと主要なSPAフレームワーク別にAuth0の組み込み手順があると尚良かったと思う。

敬虔なReactやAngucarユーザにとって、“一度Nuxtに改宗しないと欲しいものが得られない”というのは、正直少々たるいものだ。

「あー、Nuxtかー。じゃあこのチュートリアルは飛ばそう」とか言い出したら物凄く勿体ない。

日本現代怪異事典

日本現代怪異事典

日本現代怪異事典

戦後日本で流布されたあらゆる怪異を目録化した一冊。

こっくりさんやテケテケといったおなじみの古典的怪談から、八尺様やかんかんなど『死ぬほど洒落にならない怖い話(洒落怖)』に投稿された現代たんまで、ほぼ取りこぼしなく網羅されている*2

洒落怖ファン必携の書。

Spring解体新書

徹底的に読者目線・現場指向で解りやすく書かれたSpring解説本。

初めてフレームワークと触れ合う若手のJavaプログラマ無人島に1冊だけ本を持って行くとしたら、迷う余地なく本書一択である。

新人に限らず、『Spring徹底入門 Spring FrameworkによるJavaアプリケーション開発』を読んでも内容が全く頭に入って来なくて途方に暮れている人にとって、この本は福音の書になるだろう。

ただし、前提知識として、「GoFデザインパターン」は教科書の丸飲み程度でもよいので知っておいた方がよい。

安全なWebアプリケーションの作り方

この本は、セキュアなWebアプリケーションを開発するために知っておくべきことを解りやすくまとめた良書である。 どう考えてももっと早く読んでおくべきだった。

情報漏洩・改竄・なりすまし等、様々な攻撃手段とその防衛策が、イラストや例え話を用いて解説されており、エンジニア以外の人にとっても読みやすい。

レガシーなアーキテクチャだけでなく、昨今のSPAで多用されがちなWebStorageやHTML5のpostMessageなど、比較的新しめの仕掛けについてもキャッチアップしている。

かなり厚くて重いので、本棚や職場のデスクに置くと圧倒的存在感を放つ。

確率統計キャンパス・ゼミ

初めから学べると評判の大学基礎数学確率統計キャンパス・ゼミ

初めから学べると評判の大学基礎数学確率統計キャンパス・ゼミ

なるほど、モーメント母関数とはそういうものだったのか!

何を血迷ったのか、ふと「ベイズの定理」と「モーメント母関数」について少し復習したくなり、衝動的にAmazonでぽちった本である。

大学の生協などで必ずと言っていいほど平積みされている定番参考書であり、僕自身もこのシリーズには学生時代からお世話になっているのだが、いかんせん読者を選ぶ。

スバラシク実力がつくと評判の……」というづかいのセンスといい、「エッ、難しそうだって? 大丈夫! 今回も分かりやすく教えるからね」という独特の口調といい、かなり苦手なノリが延々と続くのだが、これ以外の解りやすい参考書を知らないので 仕方なく 読み進めた。

例題自体は良問が多い。

アプリケーションアーキテクチャ設計パターン

アプリケーションアーキテクチャ設計パターン

アプリケーションアーキテクチャ設計パターン

その名の通り、エンタープライズアプリケーション向けのソフトウェアアーキテクチャおよび設計パターンを詳解した本(Java EE中心)。 基本的にモノリス型の、先人に踏みならされた「堅い」知見を惜しげもなく書き尽くしている。

いきなりシステムアーキテクトに任命され、アプリケーションの開発方式やソフトウェア基盤の全体構成を検討せねばならなくなった中堅エンジニアにとって、非常に心強い一冊となるだろう。 オンラインアプリケーションのサーバサイドアーキテクチャを中心に、SPA向けのクライアントサイド、バッチ処理ビッグデータ、他システム連携など守備範囲も広い。

それにしても、この手の技術書が国内であまり出版されないのはなぜだろう……。 大規模でミッションクリティカルなシステムの開発案件に関わる会社なら大抵同じような営みを行っているはずで、こうしたノウハウは会社を超えて共有されるべきものだと思うのだけど。

ちびまる子ちゃん 最終巻

このたび単行本未掲載作品7本が収録された「ちびまる子ちゃん」の最終巻が発売された。

最終話は、記念すべき第1話のセルフリメイク作品。 最終話が第1話のリプライズになっているというのも、なかなか粋な編集だと思う。

内容は、最初期のTVアニメで放送されたエピソードが多く、新作といえるものは無かったが、読み進むうちに“まる子”はもう、この世にはいないのだ……という寂寥感に襲われ、なんだか切なくなった。

ちなみに、「まる子、夢について考える」という幻の問題作は、結局、最終巻にも収録されることはなかった。

Excelでわかるディープラーニング超入門

Excelでわかるディープラーニング超入門

Excelでわかるディープラーニング超入門

プログラミングや数式に苦手意識があるけど、機械学習にちょっと興味のある人にもとことん優しい超入門書。

本屋で通りすがりに買って、1、2回通読してそのまま行方不明になってしまったかわいそうな本である。

ディープラーニングと言えば、とりあえずTensorFlowやKerasあたりのライブラリを利用するのが定番だが、この本は敢えてExcelという表計算ソフトを用い、ノンプログラミングでニューラルネットワークの動作原理を解き明かそうとしている。

特に行列演算とExcelの親和性はかなり高く、数式の意味も追いやすい。 畳み込みニューラルネットワークの概念は、この本で初めて理解できた。

……でもその後すぐ忘れた。

アウトプット大全

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

理想的なインプットとアウトプットの比率は 3:7。

いろいろと本を読むばかりで、今ひとつアウトプットできていないという事実を再認識させられた。

溜め込むばかりで形にしなければ、結局なにもしていないことと同じなわけで、非常に勿体ないことである。

まぁそんなわけで、今月から Qrunch を始めてみたり、別名義のブログを始めてみたり、小さなアウトプット活動を始めている。


……以上、今年読んだ中でも特に良かった本10選でした。

この他にもDockerやAWS、Webデザイン、リーダーシップ、マネジメント、文章の書き方、英語学習などなど、様々なジャンルの本を買いました。

最近少しオーバーワーク気味で、せっかく買った本も読み切れず消化不良を起こしつつありますが、来年はもっともっと加速できたらいいなと思います。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

*1:HTTPモジュールや国際化、サービスのDI、AoTコンパイル等々、今となっては少々記述が怪しい箇所が無いわけでもない。

*2:ただし九州の特殊部落を舞台にした『裏S区』は、非常に知名度の高い話であるにも関わらず、おそらく人権的配慮によって収録されていない。

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