今年ももう残り僅かです。 みなさま、今年1年はいかがでしたでしょうか。
僕にとっての 2019年は本当に様々なことがあり、大変な一年でした。 ある意味、人生のひとつの転換点でもあり、時間というものの不可逆性を強く意識させられた年でもありました。
そんなわけで、今年も1年間のうちに読んだ本の中から、僕の独断と偏見で10冊をピックアップしました。
ちなみに、今年の初めにあれほど気になっていたはずの『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』は、ついぞ読むことはありませんでした。
ファクトフルネス、気になる。
— たーせる (@tercel_s) January 14, 2019
それではいってみましょう。
Architecting Angular Applications with Redux, RxJS, and NgRx
今や Angular の準公式ライブラリとして不動の地位を気付いた NgRx だが、なぜか日本語で読める書籍が見当たらなかったので今年の初めに仕方なく買った本。ちょっと旧い (2018年刊行) が、僕はこの本のお陰で RxJS と仲直りできた。
なお、6月頃には NgRx のメジャーバージョンが v8 に上がり、この本の (主にNgRxまわりの) サンプルコードがいまいち役に立たなくなった。 残念。
- 作者:Christoffer Noring
- 出版社/メーカー: Packt Publishing
- 発売日: 2018/03/26
- メディア: ペーパーバック
闇金ウシジマくん(最終巻)
社会勉強の一環として読み始めたウシジマくんが、遂に完結した。
これまで、闇金利用者の人生にフォーカスを当てたエピソードが多かったが、最終章ではウシジマくん自身が本来の意味での主人公となる。
ネタバレを避けるためストーリーの核心には触れられないが、絶体絶命の窮地から急転直下の結末にかけての怒涛の展開についていけず、読み終わったあとは言葉も出なかった(デスノートの読後感に近い)。
インターフェースデザインのお約束
あらゆることに興味がなくなった時期に買った本。
たとえどんなに業務ロジックの検討を尽くしても、フロントエンドの手触りが「違う、こうじゃない」という代物だと、システムは台無しになる。 そのくらい「UX を損なう行為」は罪深いことなのだ。
本書は、画面設計の質を高めるためのヒント集であり、設計時に失念しがちな UX の気配りや知見が言語化されている。 「○○しろ」「××するな」と明快な指示語で書かれているため、少なくともやって良い事と悪い事の区別はできるようになると思う。
インタフェースデザインのお約束 ―優れたUXを実現するための101のルール
- 作者:Will Grant
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2019/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
データビジュアライゼーションの教科書
これまでありそうでなかった、“視覚化”手法に特化した解説本。 データの特性を的確に“相手”に伝えるための有効な手段がデザインパターン化されている。 エンジニアだけでなく、論文を執筆している学生からビジネスレポートを作成する社会人まで読んでおいて損はないだろう。 ちなみに買ったばかりの頃、はしゃぎすぎてこんな記事を書いた。
CSS グリッドで作る HTML5 & CSS3 レッスンブック
恥ずかしながら、これまで Bootstrap に頼りきりで、CSS レイアウトのトレンドを知らずにいたのだが、本書を読んで CSS グリッドは端正なレイアウトをシンプルに実現するために是非知っておきたい。 同じ CSS レイアウトでも従来のフレキシブルボックスとは全く勝手が違うため、基礎からきちんと学んでおかねばと思い購入した。 遊びでラテ欄なんかを作ったのも今では良い思い出である。
- 作者:エビスコム
- 出版社/メーカー: ソシム
- 発売日: 2018/12/25
- メディア: 単行本
最短コースでわかる ディープラーニングの数学
高校の数Iレベルを出発点として、ディープラーニングにおける損失関数、誤差逆伝播法や勾配降下法の数理的な意味を理解したつもりになれるという意欲的な一冊だ。
特筆すべき点は2点ある。 1つ目は説明から徹底的にムダが削ぎ落とされている点である。 たとえば行列の章では(普通なら絶対に触れるであろう)固有値・対角化に一切触れていない。 2つ目は、取り扱う数学的単元は多岐にわたるが、それらが1冊を通して華麗なフォーメーションプレイを魅せているところである。
単に微積やら行列やらのありがちな解説を寄せ集めただけの本ではない。 著者はさぞ苦心の末にストーリーを組み立てたことだろう。
Angular 超入門
そろそろ Angular を3年近くやっているのに今さら超入門もないのだが、本書だけは触れておきたい。 とにかく守備範囲が広い。 4章でリアクティブプログラミング(RxJSとObservable)、5章で Angular Material、6章で Firebase (Authentication と Cloud Firestore) との連携という充実ぶりだ。 特に Firebase との連携は本書ならでは。 説明の水準はどれも初歩的レベルなのだが、最低限コレを1冊読めばアプリっぽい何かを作る道具はひととおり揃うだろうし、物事の取っ掛かりとしては良い。
リファクタリング 第2版
2014年の買ってよかった本にも登場した名著『リファクタリング』が、満を持して大改訂された。 大きな変化の一つは、サンプルコードが Java から JavaScript に変わったという点である。
だからと言って本質が大きく変わったわけではない。
ただ、当時と違い、今では for
や while
などの繰り返し構文も「不吉な臭い」と見なされつつある。 また、説明にクラス図がほぼ使われていない。 少しずつだが時代は動いているのだ。
リファクタリング(第2版): 既存のコードを安全に改善する (OBJECT TECHNOLOGY SERIES)
- 作者:Martin Fowler
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2019/12/01
- メディア: 単行本
猫パン日記
本当は、この枠は『ポプテピピック SEASON THREE AND FOUR (バンブーコミックス WINセレクション)』を紹介する予定だった。 が、滑り込みで読んだ本書が圧倒的大差をつけてポプテピピックを蹴散らしたので急遽差し替えた次第である。
主人公のぬら次郎がネコと暮らすほのぼのとした日常を描いた実録系マンガなのだが、とにかく終始ハイテンションでワードセンスが神で、一体何を食べて育ったらこんなマンガが描けるようになるのか分からないがとにかく元気が出る。
Node.js デザインパターン 第2版
途中まで読んで停滞している。 JavaScript で今時のソフトウェアアーキテクチャを身につける際に知っておきたい知識が凝集されており、かなり歯応えのある一冊である。 GoF のデザインパターンを多少齧ったことがある人ならば 6章から読んでみるのもよいかもしれない。 既存のパターンを Node.js ではどのようにコーディングするかという話題は興味深い。
- 作者:Mario Casciaro,Luciano Mammino
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2019/05/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
というわけで、以上が今年の10選です。
おまけ
お盆休み中に『最短コースでわかる ディープラーニングの数学』を写経している様子のツイート
不慮の事故でSurfaceちゃんのディスプレイにひびが入ってしまい、めちゃくちゃ落ち込んでいる。
— たーせる (@tercel_s) August 14, 2019
──ので、とりあえずアナログな勉強法に切り替えた。 pic.twitter.com/a44uvYTc3M
NgRx 本を噛み砕いて、自分なりにまとめている様子のツイート
@ngrx/storeのもろもろをパワーポイント的なドキュメントにまとめようとして力尽きた⊂⌒~⊃。Д。)⊃ pic.twitter.com/MrHCNtErSm
— たーせる (@tercel_s) March 21, 2019
Firebase と連携してプッシュ通知を試している様子のツイート
秋なので、バックグラウンドプッシュ通知とやらをてきとうに実装してみる…… pic.twitter.com/4JCZLSMsT0
— たーせる (@tercel_s) October 22, 2019
それでは、今日はこの辺で。
みなさまよいお年を〜。